MACDは、多くのトレーダーに利用される人気の指標で、FX取引でのトレンド転換やモメンタムを見極めることができます。
初心者から上級者の方々向けに見方や設定値、使い方や効果的な応用手法について紹介し、上手く使いこなすことで勝率を上げる方法も解説していきます。
FXのMACDとは
MACD(Moving Average Convergence Divergence、移動平均収束拡散法)は、1970年代にジェラルド・アペル(Gerald Appel)によって開発されたテクニカル指標です。
この指標は、2本の移動平均線の差を利用して、トレンドの変化やモメンタムを測定します。
FXのMACDバックテスト
MACDのバックテストは、過去のデータで戦略の有効性を検証し、リスクを低減しながら信頼性の高いトレード判断を行うために重要です。
MACDの有効性を検証するために、2023年12月19日〜2024年6月19日の直近6か月のFXデータを使用してバックテストを行いました。
以下は、USD/JPYとEUR/JPYの主要通貨ペアを対象にした結果の概要です。
バックテスト結果
USD/JPY
USD/JPYの通貨ペアでエントリー条件とエグジット条件を下記の通り実施した結果、勝率は約47.22%であり、純利益が-128,100円でした。
一方でバイ・アンド・ホールドでのリターンが10.02%でしたので、直近での当インジケーター単体での活用には優位性は確認できませんでした。
- テスト期間: 2023年12月19日~2024年6月19日
- 通貨ペア:USD/JPY
- パラメーター値の設定条件:
短期EMA:12
長期EMA:26
シグナルラインのスムージング:9 - 時間足:1時間足
- 設定金額:1,000,000円
- ロット数:0.5ロット(50,000ユニット)
- エントリー条件:
MACDラインがシグナルラインを上抜けたときに買いエントリー。
MACDラインがシグナルラインを下抜けたときに売りエントリー。 - エグジット条件
MACDラインがシグナルラインを下抜けたときにロングポジションをクローズ。
MACDラインがシグナルラインを上抜けたときにショートポジションをクローズ。
すべて | ロング | ショート | |
---|---|---|---|
純利益 | 158550.00 JPY15.86% | 17650.00 JPY1.77% | 140900.00 JPY14.09% |
総利益 | 594550.00 JPY59.45% | 256150.00 JPY25.61% | 338400.00 JPY33.84% |
総損失 | 436000.00 JPY43.60% | 238500.00 JPY23.85% | 197500.00 JPY19.75% |
最大可能利益 | 224700.00 JPY18.52% | – | – |
最大ドローダウン | 53400.00 JPY4.64% | – | – |
勝率 | 54.50% | 56.19% | 52.83% |
終了したトレード合計数 | 211 | 105 | 106 |
プロフィットファクター | 1.364 | 1.074 | 1.713 |
バイ・アンド・ホールドでのリターン | 97863.47 JPY9.79% | – | – |
EUR/JPY
EUR/JPYの通貨ペアでエントリー条件とエグジット条件を下記の通り実施した結果、勝率は約47.65%であり、純利益が-471,600円でした。
一方でバイ・アンド・ホールドでのリターンが25.66%でしたので、直近での当インジケーター単体での活用には優位性は確認できませんでした。
- テスト期間: 2023年12月19日~2024年6月19日
- 通貨ペア:EUR/JPY
- パラメーター値の設定条件:
短期EMA:12
長期EMA:26
シグナルラインのスムージング:9 - 時間足:2時間足
- 設定金額:1,000,000円
- ロット数:0.5ロット(50,000ユニット)
- エントリー条件:
MACDラインがシグナルラインを上抜けたときに買いエントリー。
MACDラインがシグナルラインを下抜けたときに売りエントリー。 - エグジット条件
MACDラインがシグナルラインを下抜けたときにロングポジションをクローズ。
MACDラインがシグナルラインを上抜けたときにショートポジションをクローズ。
すべて | ロング | ショート | |
---|---|---|---|
純利益 | −38550.00 JPY−3.86% | 38100.00 JPY3.81% | −76650.00 JPY−7.67% |
総利益 | 243250.00 JPY24.32% | 147200.00 JPY14.72% | 96050.00 JPY9.60% |
総損失 | 281800.00 JPY28.18% | 109100.00 JPY10.91% | 172700.00 JPY17.27% |
最大可能利益 | 78250.00 JPY7.47% | – | – |
最大ドローダウン | 106000.00 JPY10.27% | – | – |
勝率 | 47.73% | 52.27% | 43.18% |
終了したトレード合計数 | 88 | 44 | 44 |
プロフィットファクター | 0.863 | 1.349 | 0.556 |
バイ・アンド・ホールドでのリターン | 83914.86 JPY8.39% | – | – |
実際のFXトレードでのMACD使用例とケーススタディ
実際のFXトレードの成功例として、MACDを活用したUSD/JPYのトレードをご紹介します。
2024年4月29日にUSD/JPYが157.036円の時にMACDラインがシグナルラインを下抜けたときに売りエントリーしました。
その後、価格が155.879円まで下落し、MACDラインがシグナルラインを上抜けたため、エグジットしました。
その結果、このFXトレードでは、約115.7ピップスの利益を得ることができました
FXにおいてMACDが人気な理由
MACDが人気の理由は、その多用途性と視覚的なシグナルの明確さにあります。
MACDはトレンドの方向性、モメンタムの強さ、そしてトレンドの転換点を一目で確認できるため、初心者から上級者まで幅広いトレーダーに支持されています。
また、MACDは他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、さらに強力なトレード戦略を構築することができます。
FXにおけるMACDの基礎知識
MACDは、以下の3つの要素から構成されています
- MACDライン
- シグナルライン
- ヒストグラム
それぞれ解説していきます。
MACDラインを活用したFX取引手法
短期(通常12期間)の指数平滑移動平均(EMA)から長期(通常26期間)のEMAを引いた値です。
MACDラインは価格の変動を滑らかにし、短期と長期のトレンドの違いを明確に捉えることで、トレンドの強さや転換点を早期に検出するのに非常に役立ちます。
これにより、トレンドの持続性や加速を視覚的に確認し、エントリーおよびエグジットのタイミングをより正確に判断することができます。
シグナルラインを活用したFX取引手法
MACDラインの9期間のEMAです。
シグナルラインはMACDラインの動きを滑らかにし、より信頼性の高いシグナルを提供します。
このラインとのクロスオーバーはトレンドの転換点を示す強力なサインとして多くのトレーダーに利用され、トレンドの勢いを見極め、タイミングよくエントリーやエグジットを行うための指針となります。
ヒストグラムを活用したFX取引手法
MACDラインとシグナルラインの差を棒グラフで表示したものです。
ヒストグラムはトレンドのモメンタムの強さを視覚的に表現し、トレーダーに直感的な情報を提供します。
棒グラフの高さや方向はトレンドの強弱を示し、トレンドが強まっているのか弱まっているのかを一目で確認できるため、トレンドの継続や反転を早期に判断し、適切な取引戦略を立てることが可能です。
FXにおけるMACDの見方と解釈
これまでご案内してきた基礎要素がどのように連携し合うことでエントリーシグナルを発生させるか解説してきます。
FXにおけるMACDラインとシグナルライン
買いシグナル | MACDラインがシグナルラインを上抜けする:買いシグナル。これは、上昇トレンドの始まりを示します。 |
---|---|
売りシグナル | MACDラインがシグナルラインを下抜けする:売りシグナル。これは、下降トレンドの始まりを示します。 |
FXにおけるMACDヒストグラム
ヒストグラムはMACDラインとシグナルラインの差を視覚化したものです。
棒グラフが正の値を示している場合、上昇モメンタムが強く、負の値を示している場合、下降モメンタムが強いことを示します。
上述したエントリーシグナルと併せて精度を上げてるようにして頂けたらと思います。
FXにおけるMACDのトレード戦略
MACDは、スイングトレード、デイトレード、そしてトレンドフォロー戦略において適用することができます。
それぞれのトレード戦略で利用する際のメリットとデメリットを把握することが重要なので、ご紹介していきます。
スイングトレードを使ったFX取引手法と見方
- 明確なシグナル
MACDラインとシグナルラインのクロスオーバーは、トレンド転換の明確なシグナルを提供します。 - トレンドの持続性の把握
MACDヒストグラムでモメンタムの強さを視覚的に確認でき、中期的なトレンドの持続性を把握しやすい。
- レンジ相場での騙しシグナル
トレンドが明確でないレンジ相場では、MACDのクロスオーバーシグナルが騙しになることがある。 - 反応の遅さ
スイングトレードでは期間が長いため、MACDのシグナルが遅れ、エントリーやエグジットがタイミングを逃す可能性がある。
デイトレードを使ったFX取引手法と見方
- 迅速な反応
短期間のトレンドやモメンタムの変化に敏感に反応し、デイトレードに適したタイミングを提供します。 - 頻繁なトレード機会
デイトレードでは、MACDのクロスオーバーシグナルを利用して多くの取引機会を見つけることができます。
- 過剰取引のリスク
頻繁にトレードするため、取引コストが増加し、過剰取引のリスクがあります。 - 騙しシグナル
短期的な価格変動により、MACDのシグナルが騙しになることが多い。
トレンドフォローを使ったFX取引手法と見方
- トレンドの確認
MACDはトレンドの方向性を明確に示し、トレンドフォロー戦略に最適です。 - 持続的なトレンドの把握
ヒストグラムを使ってトレンドのモメンタムを確認し、トレンドが強まっているかどうかを判断できます。
- 遅れたシグナル
トレンドの確認に時間がかかるため、エントリーが遅れる可能性があります。 - 反転のタイミングの難しさ
トレンドが終わるタイミングを見極めるのが難しく、遅れて反応することがあります。
FXにおけるMACDに適した時間足と取引手法
MACD(移動平均収束拡散法)は、異なる時間足で効果的に使用できます。
以下に、短期、中期、長期の時間足について、それぞれの理由と根拠を詳しく説明します。
短期時間足でのFX取引: 5分足と15分足を活用したMACD手法
短期時間足でMACD取引をする場合、5分足と15分足がおすすめです。その理由と根拠についてご説明していきます。
5分足とMACD取引手法の見方とデメリット
5分足は非常に短期間のチャートであり、短期的なトレンド変動を迅速に捉えることができます。
スキャルピングトレーダーにとって、頻繁な取引機会を提供し、MACDのクロスオーバーを素早く確認できるため、エントリーとエグジットのタイミングを逃さない利点があります。
5分足では、MACDのシグナルを確認するために頻繁にチャートを監視する必要があります。
クロスオーバーシグナルが短期間で発生するため、迅速なエントリーとエグジットが求められます。また、騙しシグナルが発生しやすいので、他の指標との併用が推奨されます。
短期間での変動が激しく、ノイズが多くなるため、騙しシグナルが増えるリスクがあります。
15分足とMACD取引手法の見方とデメリット
15分足は、5分足ほど短くはないが、1時間足よりも短いため、デイトレードや短期のスイングトレードに適しています。MACDのシグナルを確認しつつ、ノイズを減少させ、トレンドの持続性を見極めやすいです。
15分足では、MACDのシグナルを確認するために一定の落ち着きを持ってチャートを監視できます。
短期トレンドの確認がしやすく、過剰な取引を避けるためには、他の指標と併用し、シグナルの確認を強化します。
依然として短期的な変動の影響を受けやすく、頻繁なシグナルにより過剰取引のリスクが高まることがあります。
中期時間足でのFX取引: 1時間足、4時間足を活用したMACD手法
中期時間足でMACD取引をする場合、1時間足と4時間足がおすすめです。
その理由と根拠についてご説明していきます。
1時間足とMACD取引手法の見方とデメリット
1時間足は、細かいトレンドの変化を捉えるのに適しており、デイトレーダーにとって理想的です。
MACDのクロスオーバーシグナルを使って、エントリーとエグジットのタイミングを見極めることができます。
1時間足では、MACDのシグナルを使ってデイトレードのエントリータイミングを見極めます。
シグナルの信頼性を高めるために、他の時間足(例えば4時間足)とのマルチタイムフレーム分析を行います。
短期的なノイズの影響を受けることがあるため、シグナルの精度が若干低下することがあります。
4時間足とMACD取引手法の見方とデメリット
4時間足は、長期的なトレンドを確認するのに適しており、スイングトレーダーにとって非常に有用です。
MACDのシグナルは安定しており、トレンドの強さや持続性を把握しやすくなります。
4時間足では、MACDのシグナルを長期的なトレンド確認に利用します。
スイングトレードにおいて、エントリーやエグジットのタイミングを決定するために、他の長期時間足(例えば日足)と併用してトレンドの強さを確認します。
シグナルの発生頻度が少なくなるため、エントリーやエグジットの機会が減少する可能性があります。
長期時間足でのFX取引: 日足、週足、月足を活用したMACD手法
長期時間足でMACD取引をする場合、日足、週足、そして月足がおすすめです。
その理由と根拠についてご説明していきます。
日足とMACD取引手法の見方とデメリット
日足は、全体的なトレンドを把握するための標準的な時間足であり、中期から長期のトレード戦略に適しています。
MACDは安定したシグナルを提供し、長期的なトレンドを見極めやすいです。
日足では、MACDを用いて全体的なトレンドの方向を確認し、中期から長期のエントリーポイントを見極めます。
他の時間足(週足や月足)との併用により、トレンドの強さと持続性を確認します。
シグナルの発生が少なく、エントリーやエグジットのタイミングが遅れる可能性があります。
週足とMACD取引手法の見方とデメリット
週足は、非常に長期的なトレンドを確認するのに適しており、長期投資家にとって有用です。
MACDのシグナルは非常に安定しており、長期間の市場動向を分析するのに役立ちます。
週足では、MACDを用いて長期的なトレンドを確認し、長期的なエントリーポイントを見極めます。
他の長期時間足(例えば月足)と併用して、大局的なトレンドの方向性を確認します。
シグナルが非常に少なく、取引の機会がさらに減少します。
月足とMACD取引手法の見方とデメリット
月足は、最も長期的な視点で市場を分析するための時間足であり、数年にわたる投資戦略を立てるのに適しています。
MACDのシグナルは非常に長期的なトレンドを示し、大局的な市場動向を把握するのに役立ちます。
月足では、MACDを用いて最も長期的なトレンドを確認し、数年にわたる投資戦略のエントリーポイントを見極めます。他の長期時間足(例えば週足)と併用して、大局的なトレンドの持続性を確認します。
シグナルが非常に稀で、取引の機会が極端に少なくなります。
FXにおけるMACDとDMIとの違いについて
MACDは、DMIと似た機能を持ちますが、異なるアルゴリズムが用いられています。
そこで、今回はその違いをご案内していきます。
DMI(Directional Movement Index)
DMIは、ADX(Average Directional Index)、+DI(Positive Directional Indicator)、-DI(Negative Directional Indicator)の3つの要素で構成され、トレンドの強さと方向を示してくれます。
ADXはトレンドの強さを測定し、+DIと-DIはトレンドの方向を示します。
MACDとの違い
MACDはモメンタムの強さとトレンドの転換を視覚化しますが、DMIはトレンドの方向と強さを別々に示します。
MACDはヒストグラムでモメンタムを視覚化しますが、DMIは方向と強さを個別のラインで表示します。
FXにおけるMACDのダマシの回避方法とリスク管理の方法
MACDにはダマシ(false signals)があります。
これを回避するためには、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することが有効なので、ご紹介していきます。
FX取引での移動平均線とMACDの組み合わせ
根拠
移動平均線は、価格のトレンドを視覚的に把握するのに役立ちます。
MACDはトレンドの変化を捉えるのに優れていますが、移動平均線と組み合わせることで、より安定したトレンドの確認が可能になります。
デメリットの補完
- MACDのデメリット: トレンドの方向を示すものの、レンジ相場では騙しシグナルが多くなることがあります。
- 補完方法: 移動平均線(例えば50日や200日のSMA)を使って、トレンドの方向を確認し、MACDのシグナルが移動平均線の方向と一致する場合にのみエントリーすることで、騙しシグナルを減少させます。
FX取引でのRSIとMACDの組み合わせ
根拠
RSIは、価格が買われ過ぎや売られ過ぎの状態にあるかを示すオシレーターです。
MACDがトレンドの方向を示す一方、RSIはモメンタムの強さを示します。
両者を組み合わせることで、エントリーとエグジットのタイミングをより精度高く判断できます。
デメリットの補完
- MACDのデメリット: トレンドの転換点を示すが、モメンタムの強さまでは示さない。
- 補完方法: RSIを使って、モメンタムの強さを確認し、MACDのシグナルがRSIのオーバーボートやオーバーソールドのレベルで発生する場合にのみエントリーすることで、エントリータイミングの精度を高めます。
FX取引でのボリンジャーバンドとMACDの組み合わせ
根拠
ボリンジャーバンドは価格のボラティリティを測定し、価格がバンドの上限や下限に達した時点で反転の可能性を示唆します。
MACDと組み合わせることで、価格の異常な変動を確認し、エントリーポイントをより明確にすることができます。
デメリットの補完
- MACDのデメリット: 短期的な価格の異常変動には対応しにくい。
- 補完方法: ボリンジャーバンドを使って、価格がバンドの上限や下限に達した時点で反転の可能性を確認し、MACDのシグナルがこのポイントで発生する場合にのみエントリーすることで、短期的な異常変動を捉えます。
FX取引でのストキャスティクスとMACDの組み合わせ
根拠
ストキャスティクスは、価格のオシレーションを測定し、買われ過ぎや売られ過ぎの状態を示します。
MACDがトレンドの方向を示すのに対し、ストキャスティクスは短期的な価格の反転を示します。
両者を組み合わせることで、短期的なエントリーポイントを見極めることができます。
デメリットの補完
- MACDのデメリット: 短期的な価格反転のシグナルが少ない。
- 補完方法: ストキャスティクスを使って、短期的な価格の反転ポイントを確認し、MACDのシグナルがストキャスティクスのシグナルと一致する場合にエントリーすることで、短期的な反転を捉えます。
FX取引でのATRとMACDの組み合わせ
根拠
ATRは価格のボラティリティを測定する指標で、トレンドの強さや持続性を判断するのに役立ちます。
MACDと組み合わせることで、トレンドの強さを確認し、リスク管理をより効果的に行うことができます。
デメリットの補完
- MACDのデメリット: トレンドの方向を示すが、ボラティリティを直接測定しない。
- 補完方法: ATRを使って、トレンドの強さを確認し、MACDのシグナルが高いATRの時に発生する場合にのみエントリーすることで、強いトレンドに乗ることができます。また、ATRを使って適切なストップロスレベルを設定することで、リスク管理を強化します。
平滑移動平均(SMA)とMACDの組み合わせ
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、価格の変化速度を測定し、トレンドの転換点を視覚的に把握するためのインジケーターですが、平滑移動平均(SMA)との組み合わせが有効です。
根拠
SMAは、価格のトレンドを滑らかにし、長期的なトレンドを確認するのに役立ちます。
MACDのクロスオーバーシグナルと、SMAのゴールデンクロス(短期SMAが長期SMAを上抜ける)またはデッドクロス(短期SMAが長期SMAを下抜ける)を確認することで、シグナルの信頼性が向上します。
特に、両方のインジケーターが同じシグナルを示す場合、その信頼性が高まります。
デメリットの補完
SMAが遅行性のため、エントリーが遅れる可能性がありますが、MACDと併用することでシグナルの信頼性を高め、騙しシグナルを減少させます。
一目均衡表とMACDの組み合わせ
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、価格の変化速度を測定し、トレンドの転換点を視覚的に把握するためのインジケーターですが、一目均衡表との組み合わせが有効です。
根拠
一目均衡表は、価格の動向、トレンドの強さ、サポートとレジスタンスを示す複合指標です。
MACDのクロスオーバーシグナルと、一目均衡表の雲(Kumo)の位置を確認し、価格が雲を上抜けるタイミングを一致させることで、信頼性の高いシグナルを得ることができます。
デメリットの補完
一目均衡表は複雑なインジケーターですが、MACDのシンプルなクロスオーバーシグナルと組み合わせることで、視覚的に分かりやすくなり、エントリーの判断がしやすくなります。
フィボナッチ・リトレースメントとMACDの組み合わせ
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、価格の変化速度を測定し、トレンドの転換点を視覚的に把握するためのインジケーターですが、フィボナッチ・リトレースメントとの組み合わせが有効です。
根拠
フィボナッチ・リトレースメントは、価格の重要なサポートおよびレジスタンスレベルを示します。
MACDのクロスオーバーシグナルと、フィボナッチ・リトレースメントの主要レベル(38.2%、50%、61.8%)に価格が接触するタイミングを確認することで、シグナルの信頼性が向上します。
そのため、MACDのシグナルと組み合わせることで、反転ポイントの信頼性が高まります。
デメリットの補完
フィボナッチ・リトレースメント単独ではシグナルが不明確な場合がありますが、MACDのクロスオーバーシグナルと併用することで、エントリーの精度が向上します。
オンバランスボリューム(OBV)とMACDの組み合わせ
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、価格の変化速度を測定し、トレンドの転換点を視覚的に把握するためのインジケーターですが、オンバランスボリューム(OBV)との組み合わせが有効です。
根拠
OBVは、出来高を価格変動に対して累積し、市場のモメンタムを示す指標です。
MACDのクロスオーバーシグナルと、OBVの動きが一致するタイミングを確認することで、シグナルの信頼性が向上します。
出来高の増加が価格上昇に伴う場合、MACDのシグナルはより信頼性が高くなります。
デメリットの補完
OBVは出来高に基づく指標であり、価格の動きを直接示すものではありませんが、MACDのクロスオーバーシグナルと併用することで、価格動向の確認が容易になります。
アルーン・インジケーターとMACDの組み合わせ
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、価格の変化速度を測定し、トレンドの転換点を視覚的に把握するためのインジケーターですが、アルーン・インジケーターとの組み合わせが有効です。
根拠
アルーン・インジケーターは、トレンドの強さと方向性を評価する指標です。
MACDのクロスオーバーシグナルと、アルーン・アップとアルーン・ダウンの交差タイミングを確認することで、シグナルの信頼性が向上します。
特に、両方のインジケーターが同じシグナルを示す場合、その信頼性が高まります。
デメリットの補完
アルーン・インジケーターはトレンド相場での有効性が高いですが、レンジ相場では騙しシグナルが発生しやすいです。
MACDのクロスオーバーシグナルと併用することで、トレンドの確認が可能となり、騙しシグナルを減少させます。
FXトレードにおけるMACDの設定と使い方
MT4、MT5、TradingViewなど主要なトレーディングプラットフォームでのMACDでの設定値を以下に説明します。
FX取引におけるMT4/MT5でのMACDの設定値と使い方
- プラットフォームを開き、チャートを表示します。
- 「挿入」メニューから「インディケーター」を選択し、「オシレーター」から「MACD」を選びます。
- 設定ウィンドウで短期EMA(例:12)、長期EMA(例:26)、シグナルライン(例:9)の期間を入力します。
FX取引におけるTradingViewでのMACDの設定値と使い方
- チャートを開き、画面上部の「インジケーター」ボタンをクリックします。
- 検索ボックスに「MACD」と入力し、表示されたリストから「Moving Average Convergence Divergence (MACD)」を選択します。
- 設定ウィンドウで短期EMA、長期EMA、シグナルラインの期間を入力し、好みに合わせて調整します。
個々のトレードスタイルや市場条件に合わせたFXでのMACDカスタマイズ方法
トレーダーのスタイルや市場の状況に応じて、MACDのパラメータを調整することが重要です。
ご自身のトレードスタイルによって数値をカスタマイズすることをおすすめですが、以下では利益を積極的に追及していきたいタイプと堅実タイプの2通りに分けてご案内していきます。
FXでMACDを活用して積極的に攻めていきたい場合
設定値
- 短期EMA期間: 9
- 長期EMA期間: 21
- シグナルライン期間: 6
根拠
- 短期EMA期間を短くする: 短期EMA期間を短く設定することで、MACDが価格の変動に対して敏感に反応します。これにより、トレンドの初期段階でエントリーシグナルを捉えることができ、短期的な取引機会を増やすことができます。
- 長期EMA期間を短くする: 長期EMA期間を短く設定することで、より頻繁にクロスオーバーが発生し、トレンドの変化を早期に捉えることが可能になります。
- シグナルライン期間を短くする: シグナルライン期間を短く設定することで、MACDラインとシグナルラインのクロスオーバーが早期に発生し、トレンドの転換点を迅速に判断できます。
リスクと対策
リスク | 短期的な価格変動に対して過敏になり、騙しシグナルが増える可能性があります。 |
---|---|
対策 | 他のインジケーター(例:RSIやボリンジャーバンド)と併用し、複数のシグナルを確認することで騙しシグナルを減少させる。 |
FXでMACDを活用して守りながら利回りを狙いたい場合
設定値
- 短期EMA期間: 12
- 長期EMA期間: 26
- シグナルライン期間: 9
根拠
- 標準的な設定: 12期間の短期EMA、26期間の長期EMA、9期間のシグナルラインという標準的なMACDの設定は、トレンドの変動に対して適度な感度を持ち、信頼性の高いシグナルを提供します。この設定は、短期的なノイズを排除しつつ、トレンドの持続性を確認するのに適しています。
- 安定したトレンドの把握: 標準的な設定は、トレンドの持続性を確認し、エントリーとエグジットのタイミングをより慎重に判断するために役立ちます。
リスクと対策
リスク | シグナルの発生が遅れる可能性があり、エントリーやエグジットのタイミングを逃すことがあります。 |
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対策 | リスク管理のために、ストップロスを設定し、エグジット条件を明確にすることで、大きな損失を避ける。 |
FXのMACDに関するよくある質問
FXにおけるMACDに関して、よくある質問について纏めましたので、ご参考ください。
FXのMACD 徹底解説 まとめ
MACD指標は、価格のトレンドとモメンタムを見極めるための強力なツールです。
正確な設定と解釈を行うことで、トレードの成功率を向上させることができます。
一方でバックテストや実際のトレード例を通じて判明したことはMACD単体での勝率は決して高くないということです。
そのため、他のテクニカル指標と組み合わせることで、より精度の高いトレード戦略を構築することが必要です。
是非、自身のスタイルや市場条件に合わせてMACDをカスタマイズし、最適なトレード戦略を見つけて頂けたらと思います。