FXのローソク足とは?

ローソク足は日本の江戸時代の米相場が発祥と言われている相場分析方法であり、一見非常にシンプルな形をしていますが、一目で多くの情報を理解することができるため、今では世界中の多くのトレーダーに愛用されています。
FXを含む株や商品など様々なマーケットでローソク足は使われており、チャートを読み解く上での共通言語と言っても過言ではないでしょう。
ローソク足の理解には、FXの基本的な知識やチャートについて知っていることが役立ちます。
「まずはFXの基本的な知識やチャートについて知りたい」という方は、以下の記事をご覧ください。
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動画でわかるローソク足の見方
ローソク足の見方と基本の形
ローソク足は1本で一定期間(分・日・週・月など)の始値(はじめね、OPEN)、終値(おわりね、CLOSE)、高値(たかね、HIGH)、安値(やすね、LOW)を表します。
ローソク足チャートでは、この4種類の価格(四本値)を使って分析をすることになります。
4本値の中でも終値は、最終的な価格として特に重要視される価格です。
例えば、移動平均線やRSI、MACDなどの多くのテクニカル指標は、基本的に終値を使用して計算と描画をおこないます。
ローソク足に含まれる価格情報 | 説明 |
始値(はじめね、OPEN) | 期間の最初に提示された為替レート |
終値(おわりね、CLOSE) | 期間の最後に提示された為替レート |
高値(たかね、HIGH) | 期間中で最も高い値段で提示されたレート |
安値(やすね、LOW) | 期間中で最も安い値段で提示されたレート |

ローソク足の3つの構成要素
ローソク足は3つの構成要素から成り立っています。
ローソク足の構成要素は、それぞれ「実体(じったい)」、「上ヒゲ(うわひげ)」、「下ヒゲ(したひげ)」と呼ばれており、値動きの様子などを判断する材料になるものです。
テクニカル分析の基本中の基本であるローソク足の構成要素をしっかりと理解し、どのような値動きがおこったのかを判断できるようにしておきましょう。

実体
ローソク足の始値から終値までの四角い部分を「実体」と呼びます。
ローソク足が確定する前は、始値と現在の価格が実体部分になります。
実体は通常、陽線の場合は白または赤、陰線の場合は黒または青でチャートに表示されることが多いです。
陽線と陰線の違いに関しては、本記事で後述いたします。
上ヒゲ
実体から伸びた高値や安値の線を「ヒゲ」と呼びます。
ヒゲの中でも、「上ヒゲ」は実体から高値までの線のことを指します。
要するに、上ヒゲとは高値を表す線です。
上ヒゲの長さは始値または終値と、高値の差を表します。
例えば、上ヒゲが長ければ始値または終値と、高値の差が大きかったということになるのです。
上ヒゲが長いことは、「上に行こうとする力(買う勢い)が最後まで持続しなかった」ということを教えてくれます。
下ヒゲ
前述した上ヒゲとは反対に、実体から安値までの線を「下ヒゲ」と呼びます。
つまり、下ヒゲとは安値を表す線です。
下ヒゲの長さは始値または終値と、安値の差を表します。
例えば、下ヒゲが長ければ始値または終値と、安値の差が大きかったということになるのです。
下ヒゲが長いことは、「下に行こうとする力(売る勢い)が最後まで持続しなかった」ということを教えてくれます。
ローソク足の時間の単位
ローソク足の1本1本は「足(あし)」と呼ばれます。
分単位のローソク足は「分足(ふんあし)」、時間単位は「時間足(時間足)」、1日単位は「日足(ひあし)」、1週間単位は「週足(しゅうあし)」、1ヶ月単位は「月足(つきあし)」と言います。
代表的なものでは、1分足、5分足、10分足、15分足、30分足、1時間足、4時間足、8時間足、日足などがあり、長いものでは年足(ねんあし)という年単位の足もあるほど種類は豊富です。
- 1分足(M1)
- 5分足(M5)
- 30分足(M30)
- 1時間足(h1)
- 4時間足(h4)
- 8時間足(h8)
- 日足(D1)

チャート分析では日足よりも長い期間のローソク足を重視する傾向がありますが、FXではスキャルピングやデイトレードなどで時間足や分足が利用されることも一般的です。
また、5分足の12本分が1時間足、1時間足の4本分が4時間足、4時間足の6本分が日足になることを知っておくと、ローソク足についての理解が深まるでしょう。
当然ながら、長い期間のローソク足であればあるほど、変動幅はどんどん大きくなってきます。
そのため、自身のトレードスタイルに合わせて、ローソク足の期間と利益確定や損切りの幅を設定することが大切になるのです。

始値と終値を意識して見てみよう!

ローソク足の種類
ローソク足の種類を知ることで、相場の参加者が買い方と売り方に分かれてぶつかりあった流れや結果を理解することができます。
それぞれのローソク足がどのような状況を表しているのか、順番に確認していきましょう。
陽線・陰線
始値より終値または現在の価格の方が高いローソク足は「陽線」、反対に始値より終値または現在の価格の方が低いローソク足は「陰線」と言います。
つまり、始値より終値または現在の価格が高いか低いかを表現しているのが、陽線や陰線なのです。
もし分かりづらい場合は、
- 始値より終値が高い:陽線
- 始値より終値が低い:陰線
と覚えておくとよいでしょう。

大陽線
大陽線とはローソク足の実体が長く、ヒゲが短い陽線のことを言います。
大陽線は始値から大幅に上昇して終値を付けたことを表し、上昇トレンドが続くことを示すものです。
また、下降トレンドで出現した場合には、上昇トレンドへの転換点のサインとも言われます。
大陽線に「始値から終値までの値幅が何pips以上」といった明確な定義はなく、前後のローソク足と比較して判断することになります。
そのため、トレーダーによってローソク足が大陽線であるかの判断は異なるのです。

陽の丸坊主
陽の丸坊主とは大陽線の一種で、上ヒゲと下ヒゲが無く、始値から一度も安値を更新することなく上昇し続けたローソク足です。
上昇圧力が非常に強く、値上がりが続くサインであり、下降トレンドで出現した場合には上昇トレンドへの転換点のサインにもなります。

陽の寄り付き坊主
陽の寄り付き坊主とは上ヒゲのみがあり、始値から一度も安値を更新することなく上昇し続けたローソク足です。
陽の丸坊主とは違い、終値は高値から少し下落しています。
陽の寄り付き坊主は基本的にこの先も値上がりが続くサインになりますが、高値圏で発生した場合には下落トレンドに転換するサインにもなるため注意しましょう。

陽の大引坊主
陽の大引坊主とは下ヒゲのみがあり、始値から一度安値を更新したものの、V字回復して大きく上昇し続けたローソク足です。
陽の大引坊主は基本的にこの先も値上がりが続くサインになりますが、下ヒゲが長い程上昇する力が強い傾向があります。

大陰線
大陰線とはローソク足の実体が長く、ヒゲが短い陰線のことを言います。
大陰線は始値から大幅に下落して終値を付けたことを表し、下降トレンドが続くことを示すものです。
また、上昇トレンドで出現した場合には、下降トレンドへの転換点のサインとも言われます。
大陰線に「始値から終値までの値幅が何pips以上」といった明確な定義はなく、前後のローソク足と比較して判断することになります。
そのため、トレーダーによってローソク足が大陰線であるかの判断は異なるのです。

陰の丸坊主
陰の丸坊主とは大陰線の一種で、上ヒゲと下ヒゲが無く、始値から一度も高値を更新することなく下落し続けたローソク足です。
下落圧力が非常に強く、値下がりが続くサインであり、上昇トレンドで出現した場合には下降トレンドへの転換点のサインにもなります。

陰の寄り付き坊主
陰の寄り付き坊主とは下ヒゲのみがあり、始値から一度も高値を更新することなく下落し続けたローソク足です。
陰の丸坊主とは違い、終値は安値から少し上昇しています。
陰の寄り付き坊主は基本的にこの先も値下がりが続くサインになりますが、安値圏で発生した場合には上昇トレンドに転換するサインにもなるため注意しましょう。

陰の大引坊主
陰の大引坊主とは上ヒゲのみがあり、始値から一度高値を更新したものの、その後は大きく下落し続けたローソク足です。
陰の大引坊主は基本的にこの先も値下がりが続くサインになりますが、上ヒゲが長い程下落する力が強い傾向があります。

小陽線・小陰線
小陽線とは上下に短いヒゲがあり、実体が小さい陽線のことを言います。
一方、小陰線とは上下に短いヒゲがあり、実体が小さい陰線のことです。
小陽線や小陰線はレンジ相場でよく見られ、相場の迷いや様子見ムードを表します。
また、続け様に現れると大陽線や大陰線の発生につながり、トレンドの転換になりやすいという特徴もあります。

上ヒゲ陽線・下ヒゲ陽線
上ヒゲ陽線とはローソク足の実体に対し、上ヒゲが長い陽線のことを言います。
上ヒゲ陽線は上昇の勢いが衰えており、下落する可能性が高いというサインです。
高値圏では下降トレンドへの転換点にもなります。
一方、下ヒゲ陽線とはローソク足の実体に対し、下ヒゲが長い陰線のことを言います。
下ヒゲ陽線は大きく下落した局面があるものの、値を戻して小幅高に終わった状況です。
安値圏では上昇トレンドへの転換点にもなります。

上ヒゲ陰線・下ヒゲ陰線
上ヒゲ陰線とはローソク足の実体に対し、上ヒゲが長い陰線のことを言います。
上ヒゲ陰線は上昇の勢いが衰えており、下落の可能性が高いというサインです。
高値圏では下降トレンドへの転換点にもなります。
一方、下ヒゲ陰線とはローソク足の実体に対して下ヒゲが長い陰線のことを言います。
下ヒゲ陰線は大きく下落した局面があり、値を戻したが小幅安に終わった状況です。
安値圏では上昇トレンドへの転換点にもなります。

コマ
コマとは実体が小さく、かつ上ヒゲと下ヒゲが共に長いローソク足のことを言います。
乱高下しながらも、終値が小幅高になったコマを「陽のコマ」、小幅安になったコマを「陰のコマ」と呼びます。
コマは相場の迷いを表し、今後の値動きが読みにくいのが特徴です。
ただし、相場の高値圏や安値圏でコマが現れた場合には、トレンド転換のサインになることがあります。

カラカサ
カラカサとは長い下ヒゲと短い実体を持ち、上ヒゲがほぼない形のローソク足のことを言います。
下ヒゲ陽線から上ヒゲが無くなっている形は「陽のカラカサ」、下ヒゲ陰線から上ヒゲが無くなっている形は「陰のカラカサ」と呼ばれます。
どちらも上昇の勢いが強い可能性があるローソク足パターンです。
また、安値圏で出た場合は上昇トレンドへの転換を、高値圏で出た場合は天井のサインになります。

トンカチ
トンカチとは長い上ヒゲと短い実体を持ち、下ヒゲがほぼない形のローソク足のことを言います。
上ヒゲ陽線から下ヒゲが無くなっている形は「陽のトンカチ 」、上ヒゲ陰線から下ヒゲが無くなっている形は「陰のトンカチ」と呼ばれます。
どちらも始値から大幅に上昇したものの値を戻しており、下落の圧力が高い可能性があるローソク足パターンです。
陽のトンカチが安値圏で出た場合や陰のトンカチが高値圏で出た場合には、トレンド転換のサインになります。

相場の流れが変わる4つのパターンの十字線
十字線とは始値と終値がほぼ同じローソク足パターンのことを言います。
十字線はヒゲの状態によって4つのパターンに分けることが可能です。
十字線は相場の流れが変わるシグナルになるため、ぜひ4つのパターンを覚えてください。
トンボ
トンボとは上ヒゲがほぼ無く、下ヒゲが長い十字線のことを言います。
トンボは始値から下落して始まり、その後反発して始値付近で引けた状況です。
トンボが安値圏で出た場合は、上昇トレンドへの転換のサインになります。

トウバ
トウバとは下ヒゲがほぼ無く、上ヒゲが長い十字線のことを言います。
トウバは始値から上げて始まり、その後反落して始値付近で引けた状況です。
トウバが高値圏で出た場合は、下降トレンドへの転換のサインになります。

十字線
十字線とは始値と終値がほぼ同じ、かつ上ヒゲと下ヒゲの長さが同じくらいであるローソク足のことを言います。
十字線は「買い」と「売り」が拮坑しており、先行きが読みにくい状況です。
十字線が安値圏や高値圏で出た場合は、トレンドの転換の可能性があります。

一本線
一本線とは寄り引け同時線とも呼ばれ、値動きが無く、始値、高値、安値、終値が同じ値で引けた実体の無いローソク足のことを言います。
十字線は「買い」と「売り」が拮抗している状態を示しており、方向感が読みにくい状況を表しますが、滅多に現れることが無いローソク足パターンです。
一本線は相場の転換点となる可能性があります。

FXのローソク足 徹底解説 まとめ
ローソク足について
- ローソク足は1本で一定期間(分・日・週・月など)の
始値・終値・高値・安値を表す - 4本値の中でも終値は、最終的な価格として
特に重要視される価格 - ローソク足は、それぞれ実体(じったい)
上ヒゲ(うわひげ)、下ヒゲ(したひげ)で構成されている

ローソク足の種類 | 特徴 |
---|---|
陽の丸坊主 | 陽の丸坊主とは大陽線の一種で、上ヒゲと下ヒゲが無く、始値から一度も安値を更新することなく上昇し続けたローソク足です。 |
陽の寄り付き坊主 | 陽の寄り付き坊主とは上ヒゲのみがあり、始値から一度も安値を更新することなく上昇し続けたローソク足です。 |
陽の大引坊主 | 陽の大引坊主とは下ヒゲのみがあり、始値から一度安値を更新したものの、V字回復して大きく上昇し続けたローソク足です。 |
陰の丸坊主 | 陰の丸坊主とは大陰線の一種で、上ヒゲと下ヒゲが無く、始値から一度も高値を更新することなく下落し続けたローソク足です。 |
陰の寄り付き坊主 | の寄り付き坊主とは下ヒゲのみがあり、始値から一度も高値を更新することなく下落し続けたローソク足です。 |
陰の大引坊主 | 陰の大引坊主とは上ヒゲのみがあり、始値から一度高値を更新したものの、その後は大きく下落し続けたローソク足です。 |
小陽線・小陰線 | 小陽線とは上下に短いヒゲがあり、実体が小さい陽線のことを言います。 一方、小陰線とは上下に短いヒゲがあり、実体が小さい陰線のことです。 |
上ヒゲ陽線・下ヒゲ陽線 | 上ヒゲ陽線とはローソク足の実体に対し、上ヒゲが長い陽線のことを言います。 一方、下ヒゲ陽線とはローソク足の実体に対し、下ヒゲが長い陰線のことを言います。 |
上ヒゲ陰線・下ヒゲ陰線 | 上ヒゲ陰線とはローソク足の実体に対し、上ヒゲが長い陰線のことを言います。 一方、下ヒゲ陰線とはローソク足の実体に対して下ヒゲが長い陰線のことを言います。 |
コマ | コマとは実体が小さく、かつ上ヒゲと下ヒゲが共に長いローソク足のことを言います。 |
カラカサ | カラカサとは長い下ヒゲと短い実体を持ち、上ヒゲがほぼない形のローソク足のことを言います。 |
トンカチ | トンカチとは長い上ヒゲと短い実体を持ち、下ヒゲがほぼない形のローソク足のことを言います。 |
トンボ | トンボとは上ヒゲがほぼ無く、下ヒゲが長い十字線のことを言います。 |
トウバ | トウバとは下ヒゲがほぼ無く、上ヒゲが長い十字線のことを言います。 |
十字線 | 十字線とは始値と終値がほぼ同じ、かつ上ヒゲと下ヒゲの長さが同じくらいであるローソク足のことを言います。 |
一本線 | 一本線とは寄り引け同時線とも呼ばれ、値動きが無く、始値、高値、安値、終値が同じ値で引けた実体の無いローソク足のことを言います。 |