まずはじめに、FXの取引時間帯は株式市場と異なり、インターバンク市場で取引が行われているため、取引時間の自由度が高い(いつでも取引が出来る)という特徴がありますが、気をつけてなくてはならないのが、全ての時間帯が取引に適しているというわけではないということです。
そこで、今回はFXの取引時間ついて、基本的な知識を抑えつつ、初心者から上級者にとっておすすめの時間帯を解説していきます。
※FX:「Foreign Exchange」の略で「外国為替証拠金取引」のことを指す。通貨を売ったり買ったりして利益を得る方法
※インターバンク市場:金融機関などの限定された参加者が資金の運用と調達を行う市場

FXの取引時間とは
FXの取引可能時間は土日以外の平日24時間です。世界の主要都市で為替市場が開いているため、取引が可能となっているためです。そのため、自分のライフスタイルに合わせて取引することができます。
とはいえ、「時間帯によって値動きにどんな特徴があるの?」、「どの時間帯が勝ちやすいの?」などの疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。それらの疑問を解決すべく、本記事を通じて順々に解説していきます。
FXの取引時間について動画で学ぼう
FXは24時間取引が可能?
前述した通り、FXは取引時間の自由度が高い投資であり、昼間は忙しくて取引する時間が取れないサラリーマンや主婦の方でも参加しやすいという特徴があります。
とはいえ、24時間365日取引できるわけではありません。
ここでは、FXの取引ができる時間帯と取引ができない時間帯を解説していきます。
FX取引が可能な時間帯
FXでは基本的に平日のほぼ24時間取引をすることができます。
FX業者によって多少異なりますが、一般的な取引時間は、夏時間が月曜の午前7:00前後から土曜の午前6:00前後まで、冬時間が月曜の午前7:00前後から土曜の午前7:00前後までです。
前述した通り、FXは株のように取引する場所が実際に存在しているわけではなく、電話やインターネットを使って取引されています。
そして、その時間帯に中心となって取引をする地域が存在し、世界各地のどこかで取引がされている限り、FXでは取引をすることができるのです。
平日は常に世界のどこかで市場が動いているため、サラリーマンにとっては仕事に行く前の早朝時間、休憩時間、仕事終わりの深夜の時間帯など、専業主婦であれば家事や子育ての合間の時間帯など自分のライフスタイルに合わせて取引できるのがFXの大きな魅力です。
※夏時間:夏時間とは、日照時間を有効活用するため、欧米で取り入れられている時間制度
※冬時間:冬時間とは夏時間ではない標準時間。夏時間より1時間早く生活時間を繰り上げている


基本的にFX取引ができない時間帯
取引時間の自由度が高いFXですが、土曜日の朝6時以降から日曜日に関しては、世界のほとんどの外国為替市場が一斉に休みとなるため、取引ができなくなります。
また、日本の祝日は取引をすることができますが、クリスマスや国内外の銀行が休業となる年末年始、海外の大きな祝日に関しては、土日と同じく世界中の外国為替市場が一斉に休みとなるため、取引時間が短縮されたり取引ができなくなったりします。(取引はできませんが、実際には為替は止まることなく、変動し続けていますので注意が必要です)
クリスマスや年末年始などは欧米の多くの地域で休日となることから、市場の流動性が著しく低下し、スプレッドが拡大したり突発的な値動きが発生したりするリスクが高まるため、積極的な取引は避けたり、週末にポジションを持ち越さない方が無難です。
その理由としては週明けの月曜日に窓開けが発生するためです。
※スプレッド:買う時と売る時の差。狭いほど取引きコストが低くなる。


土日は取引の振り返りや
来週のシナリオを立てる時間にしてみよう

仮想通貨であれば土日も取引可能?
FXや株式投資と並んで投資先として人気のある仮想通貨では、土日祝祭日関係なく取引することができます。
つまり、FXよりさらに取引できる時間が広がり、事実上24時間365日いつでも取引をすることが可能ということです。
例えば、ビットコインを元日に買うといったことも可能です。
そのため、仮想通貨であれば平日は仕事や家事などで忙しい方でも、休日の空いた時間に取引をすることが可能と言えます。

各国の為替市場一覧
外国為替市場は世界中にありますが、開いている時間帯や特徴は様々になっています。
代表的な外国為替市場は、東京やロンドン、ニューヨーク、シドニーです。
各市場の時間帯や特徴を順に解説していきます。

オセアニア時間(6時〜8時)
日本時間6時〜翌8時(冬時間は7時〜翌8時)はオセアニア時間と呼ばれ、ニュージーランドのウェリントン市場やオーストラリアのシドニー市場といったオセアニア市場での取引が中心となります。
オセアニア市場は市場参加者が少ないため、流動性が低く値動きが小さいのが特徴です。
また、基本的には素直な値動きで取引しやすいものの、流動性が低いことからスプレッドの拡大や急騰、急落が起きやすい時間帯でもあります。
また、前週末に大きなニュースがあった場合は、真っ先に反応し、乱高下することがあるので注意してください。
総合的に考えればオセアニア時間は、取引が中々難しい時間帯となります。

東京時間(8時~15時)
日本時間8時〜15時は東京時間と呼ばれ、東京市場での取引が中心となります。
東京時間は日本や香港、オーストラリア、シンガポールなど、アジアやオセアニアの市場参加者が多く、 日本円や豪ドル、NZドルの取引量が多いことが特徴です。
また、8時〜10時は金融機関が外国為替を取引する際の基準レートとなる「仲値」が発表されるため、値動きが活発になる傾向があります。
特に、「ゴトー日」と呼ばれる5日、10日、15日、20日、25日、30日などの5と0のつく日は、日本企業の決済(特に輸入業者)が増え、海外の取引先への支払いのために米ドルが買われやすくなります。
それにより、仲値が決まる9時55分に向けて米ドル円が短期的に上昇する傾向(円安ドル高)があり、それを利用した取引をするトレーダーも多いです。
その後、10時を過ぎると相場の動きは穏やかになっていき、前日高値・安値付近では一旦反発する傾向が見られます。

ロンドン時間(16時~25時)
日本時間16時〜25時(冬時間は17時〜26時)はロンドン時間と呼ばれ、世界1位の取引量を誇るイギリス、そしてドイツなど欧州の市場参加者が多いロンドン市場での取引が中心となります。
16時〜19時(冬時間は17時〜20時)は、欧州のトレーダーがユーロやポンドなどの通貨を積極的に取引するため、為替の値動きが特に活発になりやすいです。
19時を過ぎるとトレーダーが昼休みに入り、値動きは落ち着いていきます。
また、21時以降(冬時間は22時以降)は後述するニューヨーク市場と重なっており、1日の中で最も取引が活発な時間帯です。
そのため、日中は忙しいため取引をすることが難しいという方でも、利益を上げるチャンスは十分にあると言えるでしょう。一方で、値動きが激しいことから、取引は慎重に実施することをおすすめします。

ニューヨーク時間(21時~翌朝6時)
日本時間21時〜翌6時(冬時間は22時〜翌7時)は ニューヨーク時間と呼ばれ、アメリカの市場参加者が多いニューヨーク市場での取引が中心となります。
特に21時〜翌1時(冬時間は22時〜翌2時)の間は、ロンドンとニューヨークという2つの大きな市場が同時に開いている時間帯となり、1日の中で最も取引が活発です。
その中でも、「ニューヨークオプションカット」と呼ばれる通貨オプション(あらかじめ決められた期日や価格で通貨を売買する権利)の権利行使期限である23時前後(冬時間は24時時前後)は、値動きが非常に活発になるケースが多く見られます。
また、「ロンドンフィキシング」と呼ばれる、ロンドン市場の仲値が決まる24時前後(冬時間は翌午前1時前後)も同様です。
米ドル円やユーロドルなどの通貨ペアの値動きが大きくなるニューヨーク時間がオープンしてからの数時間は、大きな利益を狙えるチャンスが多い時間帯です。
ただし、アメリカの重要な経済指標も多く発表されるため、発表の前後は値動きが非常に大きくなることで対処が難しくなるケースがあり、初心者のうちは注意する必要があります。

※スキャルピングの意:数秒や数分単位で売買して、利益を積み重ねていくFXの手法
夏時間と冬時間について
夏時間(サマータイム)と冬時間(標準時間)では、FXの取引時間が変動します。
夏時間とは、日照時間を有効活用するため、欧米で取り入れられている時間制度です。
夏時間では冬時間から時計の時間を1時間早く進めるため、アメリカの夏時間に合わせてFXの取引時間も1時間前倒しになります。
夏時間と冬時間の一般的な日程は以下の通りです。
- 夏時間:3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで
- 冬時間:11月の第1日曜日から3月の第2日曜日まで
夏時間と冬時間の取引時間はFX業者によって異なるため、公式サイトなどで確認することをお勧めします。。
この夏時間と冬時間によって経済指標発表の時間もずれるため、間違えないようご注意ください。


年末年始やクリスマスは?
年末年始やクリスマスは、世界中の外国為替市場が一斉に休みとなるため、取引時間が短縮されたり取引ができなくなったりします。
期間中は欧米の多くの地域で休日となることから、市場の流動性が著しく低下し、スプレッドが拡大したり突発的な値動きが発生したりするリスクが高まります。
加えて、欧米や中国などの企業が決算期を迎えるため、通常とは異なる値動きを見せることもあり、価格の予測がしにくい状況になることも多いです。
そのため、年末年始やクリスマスの前はポジション調整を済ませ、期間中は積極的な取引を避けるようにすることをおすすめします。
年末年始やクリスマスは多くの地域で
休日になってしまうので流動性の低下に注意

※ポジション調整:ポジションのバランスを調整するために取引を行うこと。主に特定の銘柄などが偏った際に行われる。
※スプレッド:買う時と売る時の差。狭いほど取引きコストが低くなる。
ゴールデンウィークについて
ゴールデンウィーク期間中は東京市場が休みになるものの、世界中の外国為替市場が開いているため、通常通り取引することができます。
ただし、東京市場が休みになることから、東京時間は流動性が低くなるため、価格の急激な変動やスプレッドの拡大が起きやすくなります。
また、日本の祝日が重なる影響から、スワップポイントの発生が変則的になる可能性があることも注意が必要です。
ゴールデンウィーク期間中は、普段忙しいサラリーマンや主婦の方などがゆっくり取引できるチャンスではありますが、流動性やスワップポイントといった注意点もあることを覚えておくと良いです。
※スワップポイント:2ヵ国間の金利差調整分。金利差のある通貨ペアを取引する場合その分の金利が発生する。金利を得ることもあれば逆に金利を支払う必要がある場合もある。
主要な海外FX業者の取引時間一覧
海外FX業者 | 夏時間 | 冬時間 | 年末年始/クリスマス |
XMTrading | 月曜日6時5分
~土曜日5時50分 |
月曜日7時5分
~土曜日6時50分 |
12/25・26は閉場
12/31:時間短縮 1/1:閉場 |
Exness | 月曜日6時5分
~土曜日5時59分 |
月曜日7時5分
~土曜日6時59分 |
12/24・25は閉場
12/31~1/2:閉場 |
AXIORY | 月曜日6時4分
~土曜日5時58分 |
月曜日7時4分
~土曜日6時58分 |
12/24・25・26は閉場
12/31・1/1は閉場 |
FXGT.com | 月曜日6時5分
~土曜日5時55分 |
月曜日7時5分
~土曜日6時55分 |
12/24は時間短縮
12/25は閉場 12/31:時間短縮 1/1:閉場 |
各業者によって取引時間や営業日は異なってきます。海外FXの取引時間は平日24時間となりますが、毎朝メンテナンス時間を設けていますので、この時間帯の利用には注意してください。
初心者におすすめの時間帯は?
初心者のうちは取引時間帯ごとの特徴を把握し、自分のライフスタイルに合うと感じる時間帯で取引をすると良いです。
一般的には流動性が高く、値動きが活発でスプレッドも狭くなりやすい東京やロンドン、ニューヨーク時間が始まる時間は、初心者が取引しやすい時間帯と言われています。
特に、ニューヨーク時間が始まる21時〜翌1時(冬時間は22時〜翌2時)は、ロンドン時間とニューヨーク時間が重なるため、流動性が非常に大きくなり、トレンドが発生しやすく大きな利益も狙える時間帯です。
そのため、まずはロンドン時間とニューヨーク時間が重なる時間帯でトレンドに乗った順張りでの取引をおこない、慣れてきたら他の時間帯でも取引をしてみてはいかがでしょうか。
※トレンド:トレンドとは、「相場の方向性」を意味する。チャートが一方向に進み続ける相場はトレンドが形成されているといえます。

時間帯以外に注意すべき点とは?
FXでは時間帯以外にも注意すべき点があります。
中でも注意したいのが、各国の政府や中央銀行などが発表する経済指標です。
経済指標は将来的な価格変動を予想する上で非常に役に立つものですが、重要な経済指標が発表されると価格の乱高下を引き起こすことがあります。
例えば、毎月第一金曜日に発表される米国雇用統計は、米ドルだけでなく他の通貨にも大きな影響を与えます。(時には数円動くこともあります)
そのため、各FX会社の公式サイトで用意されていることの多い経済指標カレンダーなどを使い、経済指標が発表される日時や重要度を必ずチェックするようにしましょう。
敢えて、重要な経済指標が発表される前後には取引をしないことも選択肢として持っておくのも良いです。
また、突発的な相場の急変動が起こりやすい新興国通貨を避け、米ドルや円、ユーロなどの主要通貨を取引するのもよいでしょう。
※米国雇用統計:米国の雇用情勢を統計した経済指標のこと。
※新興国通貨:成長の初期段階にある国・地域の通貨。中南米や東南アジア、中国、インド、東欧、ロシアなどで発行されている通貨を指す。

FXの取引時間 徹底解説 まとめ
取引時間帯 | 特徴 |
オセアニア時間
(6時〜8時) |
オーストラリアのシドニー市場といったオセアニア市場での取引が中心となる。
市場参加者が少なく流動性が低いのでスプレッドの拡大や急騰、急落が起きやすい時間帯。 |
東京時間
(8時〜15時) |
日本円や豪ドル、NZドルの取引量が多い。
また5と0のつくゴトー日では日本企業の決済のため 米ドルが買われやすくなる。 |
ロンドン時間
(16時〜25時) |
欧州のトレーダーがユーロやポンドなどの通貨を積極的に取引する時間。
為替の値動きが特に活発になりやすい。 |
ニューヨーク時間
(21時〜翌6時) |
アメリカの市場参加者が多いニューヨーク市場での取引が中心となる時間帯
特に21時〜翌1時(冬時間は22時〜翌2時)の間はロンドンとニューヨークという2つの大きな市場が同時に開いている時間帯となり1日の中で最も取引が活発。 |